アルテミアは何かと聞かれれば産業であると考えます。
世界的にアルテミア養殖に関して一番の成功例はベトナムであると言われています。
1980年代以降の南部開放から始まったドイモイ政策により敵国関係にあったアメリカと共同研究が行われ様々な種類のアルテミアシストがアメリカからパイロット地域とされたメコンデルタにあるVinh Chauへ導入されました。
地域に適合したサンフランシスコ湾株(Artemia franciscana SFB)に更に改良を加え世界最小のノープリウス幼生と卵殻を持つベトナム産(Artemia franciscana VCSFB)を作り上げました。
小さな卵殻を選別し成長させた親個体から産まれた卵殻から更に小さい卵殻を選別する作業を繰り返し世代毎に3%の縮小に成功したと記録にあります。
現在ベトナムでは塩田農家や漁師、エビの養殖業者がアルテミア養殖へ切り替えることにより数倍の年収を手にすることに成功しているようです。
養殖規模ではベトナムを凌ぐ中国ではどうでしょうか。
現在中国では第13次5カ年計画(十三五)に基づき農村の脱貧困計画が実行されています。
高地や悪天候地域、災害多発地域などに住む貧困者を条件の良い土地に建設されたニュータウンへ移転させ製造業や観光業などの産業支援を行い就業の機会を提供しています。
道路やインターネット通信のインフラ整備を完備し住居と職場は送迎バスで行い生産物はネット販売で全国へ送り出すことが可能となり、子供には高度な教育が配信されています。
この十三五の最重要地としてチベット自治区が位置しています。
政治的なことには触れませんが豊富な天然資源に恵まれるチベットは良質なアルテミアの産地としても有名であり2019年には双湖県の其香錯(そのまま読めばチーシャンツオ、チーシャン湖)において新たに導入されたアルテミアを使ったアルテミア加工工場が稼働し100人の雇用が創出されたと報じられています。
また単に水産育苗飼料としての活用だけでなく中国海洋大学との産学連携によりコレステロールの調整や血糖値の低下、睡眠補助、記憶力の向上、肝臓保護などの効果を狙ったサプリメントの開発も研究されています。
国策にバックアップされたチベット産アルテミアの動向に目が離せません。
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