遅くなりましたが水槽立ち上げの硝化系統形成時にアンモニアが豊富に存在すると亜硝酸塩濃度が急上昇する理屈の私なりの回答をポストします。
その前にアンモニアについて少し説明しておきます。
脂溶性で細胞膜を通過し細胞毒性を持つアンモニア(NH3)は水中では水の水素イオンと配位結合し難脂溶性で毒性の低いアンモニウムイオン(NH4+)となります。
水素イオン濃度が高いと酸性が強くなりphは低くなります。
酸性度が高くなると毒性の低いNH4+が増えることになりますが、具体的にはNH4+のpKaが9.25なのでpH9.25の環境下でNH4+とNH3の量は等しくなります。(水温25℃の時)
魚類の生息環境はpH9.25より低い環境となりますのでアンモニア態窒素は大部分がNH4+で存在することになります。
魚の血中に於いても同様と言えますが総アンモニア量(アンモニウム + アンモニア)が多いことは良くありません。
硝化系統形成の初期に於いてアンモニアが多く存在すると亜硝酸塩濃度が一気に急上昇する理由としては以下のことが考えられます。
硝化作用に関わる硝化菌には化学合成独立栄養細菌としてアンモニアを亜硝酸塩に転換する亜硝酸菌と亜硝酸塩を硝酸塩に転換する硝酸菌の2群がありますがそれぞれ増殖スピードが異なります。
従属栄養細菌、真菌、放線菌なども硝化作用を司る微生物として存在しますが酸化効率は低いので省略します。
一般的に亜硝酸菌の世代時間は18分、硝酸菌は18時間と言われています。
細菌は世代時間毎に2倍2倍と増えていきますので1匹が24時間後に何匹に増殖しているかを比較してみましょう。
亜硝化菌:18分/世代
1,440分÷18分=80世代
2の80乗=1,208,925,819,614,629,174,706,176匹
硝化菌:1,080分/世代
1,440分÷1,080分=1.3世代
2の1乗=2匹
アンモニアを亜硝酸に転換させる職人は25桁まで増えているのに対し亜硝酸塩を硝酸塩に転換させる職人は僅か2人しか揃いません。
これではアンモニアという原材料が多く供給されれば有毒な亜硝酸塩という仕掛品として余剰在庫が増加する一方になります。
因みに25桁の数字は𥝱(じょ)や秭(し)と呼びます。
ラインバランスが整うまでの間アンモニアを排出する魚の数は最小限に抑える必要があるということがわかったと思います。
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