年別アーカイブ 2024年11月12日

投稿者:wawa

集魚剤のお話し2

X投稿より

「甘い香り」や「酸っぱい臭い」と表現するように臭いから味を連想することが可能です。
鼻と口が喉につながる人類は臭いと味を同時に楽しむことができます。
鰓呼吸による魚類の鼻は臭いを感じるための独立した器官であり、また近視とされているため魚類の臭覚は発達していると言われています。
他の感覚もありますが臭覚と味覚であれば直接生命維持に関わる味覚が先に発達したのではないかと考えます。
水中で生活する魚の体内における酸塩基平衡(酸性物質とアルカリ性物質のバランス)は環境変化に影響を受けやすいため水域の酸性化(酸味)をいち早く感知する必要があります。
特に溶存二酸化炭素濃度の上昇はph下降と高炭酸ガス血症の原因となりますので魚の味蕾は口内だけでなく体表の様々な部分に存在しており水中で常に味を感じていると言えます。
また餌が乏しく腐敗したものを食べなければならない環境でも腐敗菌が乳酸菌であれば発酵食となり多くのメリットを享受することが可能になるため酸への知覚は急務であったと考えます。
更に餌が乏しくなる深海では深海へ落ちて来る生物の死体などの腐敗臭をいち早く感知する臭覚が必要になります。
マリアナ海溝の水深8,100m付近で確認されたマリアナスネイルフィッシュ(学名:Pseudoliparis swirei)とそれぞれ共通の祖先をもつ比較的浅瀬に生息するクサウオ(学名: Liparis tanakae)との嗅覚受容体(OR )と微量アミン受容体( TAAR )の比較研究によるとマリアナスネイルフィッシュはTAAR遺伝子依存の臭覚を持っていることがわかりました。
これにより生物の腐敗後に放出されるアミンをいち早く感知することが可能となります。
またTAAR遺伝子は暗い深海で異性フェロモンを感知する役目も果たしている可能性もあるかもしれません。
ところで昨年末に甘い香り、またはイチゴの香りのする集魚剤としてのマルトールやエチルマルトールについてポストしましたが実は多くのアクアリスト達が魚や両生類の餌として活用している冷凍餌に引っ掛けて表現したものでした。
養殖魚用飼料でない観賞魚用飼料に関しては法規制等がないため原材料や添加物の確認が出来ないため品種は書きませんので皆さんの優れた臭覚で確認していただくことになりますが、生き餌として与えたときに冷凍状態ほど食いつきが良くないため不思議に感じた方もおられるのではないかと思いますがそれは集魚剤の効果による違いと考えます。
中国で釣りに使われるマルトールやエチルマルトールには工業用のものが使われることがあり漁師や釣り人の手荒れなどの悪影響が出ることがあります。
さすがに観賞魚用冷凍餌に使われる香料としては食品添加物が使われると思いますが添加物の与えすぎは良くありません。
また冷凍餌しか食べなくなれば一種の中毒症状と言えます。
そして一番注意すべき点は、食いつきの良さと利便性から飼い主が中毒になることで一辺倒な給餌は避けるようにしましょう。
魚の餌だけでなく動物の飼料全般にも使われるマルトール、エチルマルトールですが、生物は甘い香りを好むというということになります。
甘い香りやイチゴの香りから連想するものは、熟して木から水面に落ちてくる果実に含まれるビタミンやミネラルとも考えられますが糖と考えるのが妥当ではないでしょうか。
糖と言えばエネルギー源として捉えますが近年、ゲノム、タンパク質に次ぐ「第三の生命鎖」としての糖鎖が注目されていることはご存知でしょうか。
糖鎖は単糖が鎖状につながった化合物ですべての生物の細胞の表面にアンテナのように生えており細胞間情報伝達や免疫機能に大きく関わっています。
タツノオトシゴ固有のFlameCone細胞の粘液キャップを構成するムコ多糖類も糖鎖と言え腸管関連リンパ組織(GALT)が退化したタツノオトシゴの免疫系に大きく関わっていると考えます。
エネルギー源以外に糖鎖を構成する成分になる糖はすべての生物が求める存在と言えます。

投稿者:wawa

集魚剤のお話し1

X投稿より

私は釣りはしませんが今日は釣りの話しです。
と言っても魚の嗜好に関する話で集魚剤についてなのでとても参考になると思います。
中国では「香虎」と呼ばれる集魚剤を使いますが正体は風味増強剤として使われる食品添加物のマルトールやエチルマルトールです。
マルトールはカラメルや綿菓子の香りがし、 希釈溶液はイチゴの香りがします。
食品添加物としてはエチルマルトールの方が良く使われると思いますがエチルマルトールには、A1型(純香)、A2型(淡焦香)、 A3型(強化淡焦香)の3タイプありそれぞれの特徴は簡単に次のとおりです。
A1型
フルーティーな風味が大幅に向上し、苦味、酸味、酸味、渋みなどを抑えます。
A2型
カラメルの香りが非常に強く、食品本来の甘みとうま味に相乗効果をもたらします。
肉製品や菓子類、飼料に適しています。
特に肉製品に添加すると、肉のアミノ酸と相互作用し肉の風味を大幅に向上させます。
また亜硝酸塩(発色剤)を添加しなくても肉を赤くすることができます。
A3型
高純度、高品質、高白色、香りが独特であるなどの優位性を有し、特徴的な風味は焦げた香りが濃厚であり香りが長持ちします。
肉製品の本来の香りを保持すると同時に香り濃度を最大限に高めることができ、酸味、苦味抑制、生臭さを除去、防腐などの効果を有します。
肉の質感を強調する高級ハム、塩水ハム、高級肉ソーセージなどの肉製品に使用します。
飼料に使われることを考えると魚だけでなく動物は甘い匂いに引き付けられる傾向があるということですね。
引き付ける力から香水にも使われているようです。

投稿者:wawa

龍の起源

X投稿より

龍は神話に登場する動物で実在しないためタツノオトシゴを辰年のモチーフに使うことが多いです。
8L程度のタンクにエアーレーション、換水、バクテリアのみで約半年1匹も落ちることなく50匹は維持できています。
来年は少しタンクを大きくし繁殖を検討しています。

現存する最古の龍は8,000年前に遡り、遼寧省阜新モンゴル族自治県にある査海遺跡で発見された全長19.2mに及ぶトーテムの石塚龍であると言われています。
トーテムとは特定の動植物を部族の祖先として考えそのシンボルを崇拝する文化現象のことを言います。
龍の他にヘビとカエルの彫刻が出土していることから強さの象徴であるヘビと子孫繁栄の象徴であるカエルを崇拝する部族が存在し、共通して巨龍を崇拝していたと言われています。

トーテム信仰には他部族のトーテムを吸収し新しいトーテムを創造する例が見られます。
龍の起源は諸説ありますがヘビであるという考え方が専門家の間では定説となっています。
査海遺跡からはカエルを咥えたヘビの彫刻も出土されていますので査海の人々はカエルの繁殖力を取り込んだヘビにカエルの手足を生やした原始龍を創造し部族の繁栄を祈願していたのかもしれません。

また、勘が鋭い方は気付いたかもしれませんが遺跡の発見はその地に定住し農耕を始めていた可能性を示唆します。
事実査海遺跡からは農具が発見され後の農耕を主とした紅山文化の源流の一つとなっています。
農耕にとっての害虫を食べるカエルと増えすぎたカエルを食べるヘビが信仰の対象になることは自然なことに思えます。
手足の無いオタマジャクシにはやがて手足が芽生えカエルになり水中から上陸し生活の場を変えます。
同じ理屈で手足が無いヘビが成長すると手足が生え別の形の生物になると考えたのかもしれません。
手足が生えたヘビは見かけることがないため、それは人知れず陸から空へ飛び立ったのではないかと考え星座や雷などに龍の姿を重ねることでより一層神格化を加速させた可能性もあります。

中国語で龍は「龙(lóng)」と言い、農業の「农(nóng)」に由来するという説もあります。
天体を観測し、季節の変化の法則をまとめた「二十四節季」は古代農耕文明の知恵であり現代まで受け継がれています。
※ヘビ&カエルのキマイラ説とヘビ=オタマジャクシ説は個人の見解になります。

2024年は辰年になりますが十天干十二地支では甲辰(きのえたつ)に該当します。
十天干十二地支の組み合わせは60通りあり、一周すると人は60歳の還暦を迎えることになります。

また、陰陽五行思想によると甲は陽の木に属し、辰は陽の土に属します。
両者は「木剋土」すなわち木が土を抑制する関係にあります。
概念的な考えなので植物の木、土壌の土だけの意味ではありませんが、肥え過ぎた土から木が栄養を吸収し減らすことで秩序が保たれると考えることができます。
このような考え方はアクアでも共通する部分があります。

ところで「龍」が「辰」と対応するのは何故でしょうか。
「辰」の字はハマグリ農具説がありますが、実際には農具で掘り出した地虫や豆虫などの害虫が目覚めて蠢く様子を表していると言われています。
「振る」、「振動」、「震撼」、「地震」など辰を使う言葉からふるえるイメージが浮かびます。

十二支には時間を記録する目的もあり、始まりから終わりまでを表す意味が込められています。
例えば、「子」には陽気のもとで万物が芽吹くという意味があり、「亥」には万物が収蔵される(核となる)意味があります。
そして「辰」には物が震えた後に成長するという意味が与えられています。
成長を表す文字ですので5番目、時間で表すと午前の7時から9時に該当します。

また動物の活動時間や特徴に基づき決められ、ネズミは午後11時から翌日の午後 1時まで活発に活動し、午後9時から午後11時はイノシシは深い眠りにつき大きないびきをかき全身の筋肉が震え体の成長が最も早い時間となります。
そして午前の7時から9時は龍が雨を降らせる時刻になります。

そして陰と陽の概念により動物の足の指が奇数か偶数によって陰と陽にまとめられています。
ネズミは前肢4本、後肢5本と奇偶同体であり希少価値から第一にランクされています。
龍は5本で奇数とされていますが龍の指の数には重要な意味があります。
長くなりますのでここでは割愛することにします。
因みに足の無いヘビは舌が二股に分かれており偶数とされています。

十二支の起源について、現在確認できる最古の史料は、湖北省雲夢睡虎地で発掘された秦代の竹簡となりますが、現代のものと若干の違いがあり辰に対応する記載がありません。
現代と同じ十二支が書かれた最古の文献は、漢時代の王充が著した「論衡」であり、23巻の「言毒篇」の中に、「辰は龍、巳は蛇、辰巳は東南にある。龍には毒があり、蛇には棘があり、マムシには牙があり、龍には逆鱗がある。木は火を起こし、火は毒であるため、蒼龍の獣は火星を含む」という記載があります。
ここで言う火星はMarsの火星ではなく蒼龍星(サソリ座)の心臓にあたる、明るく輝く一等星アンタレスのことを指しています。
蒼龍とは天の四霊の青龍、白虎、朱雀、玄武の青龍を指すことは言うまでもありません。

実在しないものの龍やドラゴン神話は世界中にあり共通するイメージも少なくありません。
古代人は星座や自然現象など共通のものを見て想像力を膨らませていたのかもしれませんが、それがすでに絶滅した生物であったと考えるのも一興と言えませんか?

投稿者:wawa

The stable tea of Banta

X投稿より

センスを磨く問題ですので考えてみてください。
クロレラのみでミジンコ培養は可能でしょうか?
条件を設定しビタミンB群は供給されることとし、ミジンコはポピュラーなタマミジンコ(M.macrocopa)としておきましょう。
上記の条件では累代培養は可能かもしれませんが現実的には無菌培養は困難であり発生する細菌、菌類、微細藻類など微生物の栄養的干渉は避けることができません。
サスペンションフィーダーやフィルターフィーダーと呼ばれるワムシ、ミジンコ、アルテミアなどの濾過摂食者は継続的、非選択的に一定範囲の大きさの粒子を摂取します。
現在ミジンコ培養は濃縮クロレラを使う方法が定着しています。
濃縮クロレラの優位性はクロレラ細胞の密度の高さにあり、餌料生物の集約的な培養を担保することができます。
しかし使用期限は決して長くなく、保存方法にもよりますが時間の経過とともに枯れる細胞が増加していきます。
流出した細胞質内の水溶性成分は濾過摂食者による取り込みができず、主に細菌の栄養基質として利用されることになります。
このようにして増えた細菌等は濾過摂食者に取り込まれ消化・同化されることになります。
餌料生物の栄養価は与える餌により有為転変しますので、この場合の栄養価は発生する細菌等によって運否天賦という事になります。
濃縮クロレラの効果を最大限に得るためには、サードパーティー経由によらず製造年月日の表示されたメーカー直送品を選択することが大事です。
このように細菌等の発生は必至であるため特定の細菌・菌類を培養し餌として使用する方法があります。
中国の漁家の間でワムシの培養方法として導入されていますが、ミジンコ培養方法で用いられる「安定茶方式」、「独立栄養方式」を併せた培養技術と言えます。
「安定茶方式」、「独立栄養方式」のいずれも水産養殖業界では藻類バイオマスを獲得する目的で紹介されますが、実は「安定茶方式」の解釈は正しくありません。
洞窟動物相の研究で知られるアメリカの動物学者Arthur Mangun Bantaが1921年に「便利なミジンコ培地」として紹介した培地が普及したものですがバンタはこの培地の主要な食物要素は細菌であり適切な細菌を培養し、一定量を一定間隔で接種することで大量培養に適した「スタンダードフード」を得ることが可能であると述べています。
バンタは5年間の研究成果を車上荒らしで盗まれ志半ばで世を去った不遇の研究者と言えますがバンタの偉業が達成していたら餌料生物培養に与えた影響は違ったものになったかもしれません。

安定茶方式:池水、庭土、馬糞(通常は家禽糞、牛糞)から構成される培地で効果が比較的長期に及ぶ。
独立栄養方式:1~2種の微細藻類を培養し餌として用いる。累代培養の場合はビタミン添加またはビタミン生産菌が必須となる。

投稿者:wawa

海洋紅酵母

X投稿より

海洋紅酵母の発送連絡が来ました。
海洋紅酵母(Rhodotorula benthica)は海洋泥から分離した単細胞性真核生物です。
蛋白質、免疫多糖類、アスタキサンチン、不飽和脂肪酸、ビタミンなどの多種の生理活性物質を豊富に含み、水産養殖動物の生存率と成長速度を向上させることができます。

日本ではまだ馴染みが薄い海洋紅酵母ですが中国ではエビ、ナマコ、魚などの種苗生産の餌、育成期の餌への添加剤、ワムシの栄養強化などに使用されています。
またロシアのウラジオストクにある極東州立水産技術大学(Dalrybvtuz)によると腫瘍細胞を殺す効果が証明されたフロンドシドAを含む極東ナマコ、200年以上の長寿と言われるウニなどの棘皮動物の研究及び養殖用の飼料について、従来から使用している微細藻類を廃止して、衛生性、保存性、備蓄性、低コストに優れると判断した中国産の海洋紅酵母を採用し、今後国内での海洋紅酵母の量産に着手する目標を打ち立てたという事です。
ちなみにロシア極東の最大の貿易港ウラジオストクはロシア語で「東方を支配せよ」、「東方を所有している」という意味があります。
ビクトリア湾を改めピョートル大帝湾と名付けた海域に於ける軍事的・経済的な重要性を表していますが、清朝末期にロシア帝国に割譲した中国では当時は満州語由来(ᡥᠠᡳ᠌ᡧᡝᠨᠸᡝᡳ,xaiišenwei )で「海参崴」と呼ばれていました。(国立中正大学より引用)
これには「海辺の小さな漁村」、「ナマコが豊富な水溜まり」という意味があります。
地名の由来にいくつかの解釈があるのは歴史的背景、イデオロギーの違い、誤訳など様々な理由がありますので正解を探すことは困難です。
中国は2023年6月からウラジオストク港の使用権を165年ぶりに取り返し極東の経済的な奪還に成功しました。
多くの戦乱や動乱を経験しながらもシベリア鉄道の発着地、不凍港として世界経済を支えてきたウラジオストク港ですが、西方に陸の回廊を広げようとする新たな戦火の下、国際的には凍結港となったことが伺えます。