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投稿者:wawa

水産上理想的なC/N比

X投稿より

人工飼料に含まれる窒素(タンパク質 × 16%)のうち魚が吸収・利用できる割合は投入飼料のわずか20%に過ぎません。
ヨーロッパの研究で養殖サーモンの飼料に含まれる窒素の20%が直接水中に溶解し、残り80%が魚に摂取され、摂取された窒素の65%が内因性排泄、10%が糞便排泄され、僅か25%だけが魚の成長に使用されることがわかっています。(戴子坚;蔡春芳,2002)
つまり投入飼料 × 80% × 25% = 20%が魚の成長に利用され残りの80%は水域を汚染することになります。

多くの魚類の内因性窒素は鰓から、一部は腎臓から主に有毒なアンモニアとして排泄されます。
満々と水をたたえる大自然に鰓板のイオノサイトを介して有毒なアンモニアを効率的に排泄できる多くの魚類にとっては無毒な尿素に変える代謝経路は単にエネルギーロスを招く存在になるということかもしれません。
あくまで自然界での話です。

約20年前の研究なので飼料組成や養殖環境の改善により吸収率の向上が考えられる一方で、もてはやされる飼料については高タンパク質化が進んでいるのではないでしょうか。
吸収できる窒素には限界があり、過度な窒素は過度な有害なアンモニアとして魚類の体内を巡り水域へ排泄されるということ、非タンパク質(糖質、脂質)エネルギーが不足した状態だとタンパク質をエネルギーとして消費しアンモニアを生産するという無駄を招くということを覚えておくと良いと思います。

農業の視点から捉えます。
低窒素の有機肥料(高いC/N比)を土壌に施した際に土壌中の窒素が微生物に取り込まれ窒素不足による作物の生育不良が起こる状態を「窒素飢餓」と呼びます。
逆に高窒素(低いC/N比)の場合は残った窒素は土壌に排泄され栄養素として作物の生育に使われる利点があるためこの状態を問題視する言葉は存在しません。
あくまで農業での話です。

2つの話には関係が無いように思えますが魚の体内では腸内細菌群によりアミノ酸が分解されアンモニアが排泄されます。
魚類のC/N比は脂肪含有量により影響を受けるため多様性が高いですが一般的に魚肥料のC/N比は細菌のC/N比より低いことから細菌の窒素要求量は魚類より少なく炭素要求量が多いと考えられます。
それはつまり高タンパク質の魚用の飼料を栄養素とした腸内細菌が多くのアンモニアを排泄し宿主の腸に有毒なアンモニアが多く吸収されるということを意味します。
もっともアンモニア分解細菌の可能性や菌体タンパク質として利用される可能性もありますが尿素転換という解毒回路に依存しない魚類にとっては健康管理のうえで注意すべき点と言えます。
近年の研究からC/N比が10未満の場合、従属栄養細菌は有機窒素を優先的に利用するためアンモニア排泄が増加すると言われています。
具体的に飼料タンパク質含有量が30%を超えるあたりからC/N比は10未満になります。

また魚類には胃を持たない無胃魚が多く、胃を持つ魚に比べて消化・吸収に関し腸内細菌とより強い共生関係を持つと考えられます。
そして胃で殺菌されずに様々な微生物が直接腸内に運ばれてくるため日常の微生物叢のコントロールが健康管理の鍵になると言えるのではないでしょうか。

バイオフロック、中でも特に細菌フロックの視点から捉えます。
農業で理想とされるC/N比は20~30とされていますが、水産で理想とされるC/N比は15と低めになります。
これは土壌に於いては炭素源に事欠くことがありませんが、水中に於いては従属栄養細菌にとっての有機炭素源が不足しがちであるために細菌叢の構成が異なるためだと考えます。
事実バチルスや乳酸菌は中国の水産現場で活用される益菌の代表格ですがC/N比15を好むと言われています。
一般的に水槽内に於ける炭素窒素の供給源は飼料であるため水槽内のC/N比はかなり低く従属栄養細菌が活用できている例は非常に少ないと言えます。
このような環境は、底生珪藻、藍藻、緑藻、藻類、硝化菌中心のバイオフロック( + 水草)が形成されることになると思います。
特に底生珪藻(茶ゴケ)は初期に発生することからアンモニアを好むと考えられます。

ここで化学合成独立栄養細菌としての硝化菌についての問題です。
水槽立ち上げの硝化系統形成時にアンモニアが豊富に存在すると亜硝酸塩濃度は降下するでしょうか、上昇するでしょうか?
実際測ったことはありませんが理屈で考えると「急上昇」しなければなりません。
立ち上がるまで魚はパイロットフィッシュとして少しだけと知っている方は多いと思いますが、理屈を説明できる人は意外と少ないような気がします。
立ち上げなので還元菌や堆積物は関係ありませんので是非考えてみてください。
もともと水道に含まれていた、ということはありますが上昇する理由にはなりませんので正解ではありません。
私の答えは改めてポストするようにします。

ちなみにビブリオは日和見菌として位置づけられますが現実的には悪玉菌として捉えられることが多く特筆すべき点はC/N比10の環境を好むと言われていますので海水魚飼育の方は注意が必要です。

魚の餌と微生物との関係が強いということがわかっていただけたと思いますが与える飼料から不足する炭素量を計算することが可能です。
バイオフロックだけでなくプロバイオティクスとしても有効ですのでバクテリアマスターを目指す方は是非覚えてください。

台湾農業部水産試験所の資料によるとタンパク質含有量の違いによるC/N比は以下のようになります。(一部抜粋)
20%→15.6
30%→10.4
40%→7.8
50%→6.3
60%→5.2
粗タンパク質50%(C/N比6.3)の餌を100g使いC/N比を15に調整する場合は、(15 – 6.3)× 8g = 69.6gの炭素源不足が計算できます。
また、粗タンパク質40%(C/N比7.8)の餌を100g使いC/N比を15に調整する場合は、(15 – 7.8)× 6.4g = 46.08gの炭素源不足が計算できます。

バクテリアマスターに一歩近づきましたか?

投稿者:wawa

集魚剤のお話し2

X投稿より

「甘い香り」や「酸っぱい臭い」と表現するように臭いから味を連想することが可能です。
鼻と口が喉につながる人類は臭いと味を同時に楽しむことができます。
鰓呼吸による魚類の鼻は臭いを感じるための独立した器官であり、また近視とされているため魚類の臭覚は発達していると言われています。
他の感覚もありますが臭覚と味覚であれば直接生命維持に関わる味覚が先に発達したのではないかと考えます。
水中で生活する魚の体内における酸塩基平衡(酸性物質とアルカリ性物質のバランス)は環境変化に影響を受けやすいため水域の酸性化(酸味)をいち早く感知する必要があります。
特に溶存二酸化炭素濃度の上昇はph下降と高炭酸ガス血症の原因となりますので魚の味蕾は口内だけでなく体表の様々な部分に存在しており水中で常に味を感じていると言えます。
また餌が乏しく腐敗したものを食べなければならない環境でも腐敗菌が乳酸菌であれば発酵食となり多くのメリットを享受することが可能になるため酸への知覚は急務であったと考えます。
更に餌が乏しくなる深海では深海へ落ちて来る生物の死体などの腐敗臭をいち早く感知する臭覚が必要になります。
マリアナ海溝の水深8,100m付近で確認されたマリアナスネイルフィッシュ(学名:Pseudoliparis swirei)とそれぞれ共通の祖先をもつ比較的浅瀬に生息するクサウオ(学名: Liparis tanakae)との嗅覚受容体(OR )と微量アミン受容体( TAAR )の比較研究によるとマリアナスネイルフィッシュはTAAR遺伝子依存の臭覚を持っていることがわかりました。
これにより生物の腐敗後に放出されるアミンをいち早く感知することが可能となります。
またTAAR遺伝子は暗い深海で異性フェロモンを感知する役目も果たしている可能性もあるかもしれません。
ところで昨年末に甘い香り、またはイチゴの香りのする集魚剤としてのマルトールやエチルマルトールについてポストしましたが実は多くのアクアリスト達が魚や両生類の餌として活用している冷凍餌に引っ掛けて表現したものでした。
養殖魚用飼料でない観賞魚用飼料に関しては法規制等がないため原材料や添加物の確認が出来ないため品種は書きませんので皆さんの優れた臭覚で確認していただくことになりますが、生き餌として与えたときに冷凍状態ほど食いつきが良くないため不思議に感じた方もおられるのではないかと思いますがそれは集魚剤の効果による違いと考えます。
中国で釣りに使われるマルトールやエチルマルトールには工業用のものが使われることがあり漁師や釣り人の手荒れなどの悪影響が出ることがあります。
さすがに観賞魚用冷凍餌に使われる香料としては食品添加物が使われると思いますが添加物の与えすぎは良くありません。
また冷凍餌しか食べなくなれば一種の中毒症状と言えます。
そして一番注意すべき点は、食いつきの良さと利便性から飼い主が中毒になることで一辺倒な給餌は避けるようにしましょう。
魚の餌だけでなく動物の飼料全般にも使われるマルトール、エチルマルトールですが、生物は甘い香りを好むというということになります。
甘い香りやイチゴの香りから連想するものは、熟して木から水面に落ちてくる果実に含まれるビタミンやミネラルとも考えられますが糖と考えるのが妥当ではないでしょうか。
糖と言えばエネルギー源として捉えますが近年、ゲノム、タンパク質に次ぐ「第三の生命鎖」としての糖鎖が注目されていることはご存知でしょうか。
糖鎖は単糖が鎖状につながった化合物ですべての生物の細胞の表面にアンテナのように生えており細胞間情報伝達や免疫機能に大きく関わっています。
タツノオトシゴ固有のFlameCone細胞の粘液キャップを構成するムコ多糖類も糖鎖と言え腸管関連リンパ組織(GALT)が退化したタツノオトシゴの免疫系に大きく関わっていると考えます。
エネルギー源以外に糖鎖を構成する成分になる糖はすべての生物が求める存在と言えます。

投稿者:wawa

集魚剤のお話し1

X投稿より

私は釣りはしませんが今日は釣りの話しです。
と言っても魚の嗜好に関する話で集魚剤についてなのでとても参考になると思います。
中国では「香虎」と呼ばれる集魚剤を使いますが正体は風味増強剤として使われる食品添加物のマルトールやエチルマルトールです。
マルトールはカラメルや綿菓子の香りがし、 希釈溶液はイチゴの香りがします。
食品添加物としてはエチルマルトールの方が良く使われると思いますがエチルマルトールには、A1型(純香)、A2型(淡焦香)、 A3型(強化淡焦香)の3タイプありそれぞれの特徴は簡単に次のとおりです。
A1型
フルーティーな風味が大幅に向上し、苦味、酸味、酸味、渋みなどを抑えます。
A2型
カラメルの香りが非常に強く、食品本来の甘みとうま味に相乗効果をもたらします。
肉製品や菓子類、飼料に適しています。
特に肉製品に添加すると、肉のアミノ酸と相互作用し肉の風味を大幅に向上させます。
また亜硝酸塩(発色剤)を添加しなくても肉を赤くすることができます。
A3型
高純度、高品質、高白色、香りが独特であるなどの優位性を有し、特徴的な風味は焦げた香りが濃厚であり香りが長持ちします。
肉製品の本来の香りを保持すると同時に香り濃度を最大限に高めることができ、酸味、苦味抑制、生臭さを除去、防腐などの効果を有します。
肉の質感を強調する高級ハム、塩水ハム、高級肉ソーセージなどの肉製品に使用します。
飼料に使われることを考えると魚だけでなく動物は甘い匂いに引き付けられる傾向があるということですね。
引き付ける力から香水にも使われているようです。

投稿者:wawa

龍の起源

X投稿より

龍は神話に登場する動物で実在しないためタツノオトシゴを辰年のモチーフに使うことが多いです。
8L程度のタンクにエアーレーション、換水、バクテリアのみで約半年1匹も落ちることなく50匹は維持できています。
来年は少しタンクを大きくし繁殖を検討しています。

現存する最古の龍は8,000年前に遡り、遼寧省阜新モンゴル族自治県にある査海遺跡で発見された全長19.2mに及ぶトーテムの石塚龍であると言われています。
トーテムとは特定の動植物を部族の祖先として考えそのシンボルを崇拝する文化現象のことを言います。
龍の他にヘビとカエルの彫刻が出土していることから強さの象徴であるヘビと子孫繁栄の象徴であるカエルを崇拝する部族が存在し、共通して巨龍を崇拝していたと言われています。

トーテム信仰には他部族のトーテムを吸収し新しいトーテムを創造する例が見られます。
龍の起源は諸説ありますがヘビであるという考え方が専門家の間では定説となっています。
査海遺跡からはカエルを咥えたヘビの彫刻も出土されていますので査海の人々はカエルの繁殖力を取り込んだヘビにカエルの手足を生やした原始龍を創造し部族の繁栄を祈願していたのかもしれません。

また、勘が鋭い方は気付いたかもしれませんが遺跡の発見はその地に定住し農耕を始めていた可能性を示唆します。
事実査海遺跡からは農具が発見され後の農耕を主とした紅山文化の源流の一つとなっています。
農耕にとっての害虫を食べるカエルと増えすぎたカエルを食べるヘビが信仰の対象になることは自然なことに思えます。
手足の無いオタマジャクシにはやがて手足が芽生えカエルになり水中から上陸し生活の場を変えます。
同じ理屈で手足が無いヘビが成長すると手足が生え別の形の生物になると考えたのかもしれません。
手足が生えたヘビは見かけることがないため、それは人知れず陸から空へ飛び立ったのではないかと考え星座や雷などに龍の姿を重ねることでより一層神格化を加速させた可能性もあります。

中国語で龍は「龙(lóng)」と言い、農業の「农(nóng)」に由来するという説もあります。
天体を観測し、季節の変化の法則をまとめた「二十四節季」は古代農耕文明の知恵であり現代まで受け継がれています。
※ヘビ&カエルのキマイラ説とヘビ=オタマジャクシ説は個人の見解になります。

2024年は辰年になりますが十天干十二地支では甲辰(きのえたつ)に該当します。
十天干十二地支の組み合わせは60通りあり、一周すると人は60歳の還暦を迎えることになります。

また、陰陽五行思想によると甲は陽の木に属し、辰は陽の土に属します。
両者は「木剋土」すなわち木が土を抑制する関係にあります。
概念的な考えなので植物の木、土壌の土だけの意味ではありませんが、肥え過ぎた土から木が栄養を吸収し減らすことで秩序が保たれると考えることができます。
このような考え方はアクアでも共通する部分があります。

ところで「龍」が「辰」と対応するのは何故でしょうか。
「辰」の字はハマグリ農具説がありますが、実際には農具で掘り出した地虫や豆虫などの害虫が目覚めて蠢く様子を表していると言われています。
「振る」、「振動」、「震撼」、「地震」など辰を使う言葉からふるえるイメージが浮かびます。

十二支には時間を記録する目的もあり、始まりから終わりまでを表す意味が込められています。
例えば、「子」には陽気のもとで万物が芽吹くという意味があり、「亥」には万物が収蔵される(核となる)意味があります。
そして「辰」には物が震えた後に成長するという意味が与えられています。
成長を表す文字ですので5番目、時間で表すと午前の7時から9時に該当します。

また動物の活動時間や特徴に基づき決められ、ネズミは午後11時から翌日の午後 1時まで活発に活動し、午後9時から午後11時はイノシシは深い眠りにつき大きないびきをかき全身の筋肉が震え体の成長が最も早い時間となります。
そして午前の7時から9時は龍が雨を降らせる時刻になります。

そして陰と陽の概念により動物の足の指が奇数か偶数によって陰と陽にまとめられています。
ネズミは前肢4本、後肢5本と奇偶同体であり希少価値から第一にランクされています。
龍は5本で奇数とされていますが龍の指の数には重要な意味があります。
長くなりますのでここでは割愛することにします。
因みに足の無いヘビは舌が二股に分かれており偶数とされています。

十二支の起源について、現在確認できる最古の史料は、湖北省雲夢睡虎地で発掘された秦代の竹簡となりますが、現代のものと若干の違いがあり辰に対応する記載がありません。
現代と同じ十二支が書かれた最古の文献は、漢時代の王充が著した「論衡」であり、23巻の「言毒篇」の中に、「辰は龍、巳は蛇、辰巳は東南にある。龍には毒があり、蛇には棘があり、マムシには牙があり、龍には逆鱗がある。木は火を起こし、火は毒であるため、蒼龍の獣は火星を含む」という記載があります。
ここで言う火星はMarsの火星ではなく蒼龍星(サソリ座)の心臓にあたる、明るく輝く一等星アンタレスのことを指しています。
蒼龍とは天の四霊の青龍、白虎、朱雀、玄武の青龍を指すことは言うまでもありません。

実在しないものの龍やドラゴン神話は世界中にあり共通するイメージも少なくありません。
古代人は星座や自然現象など共通のものを見て想像力を膨らませていたのかもしれませんが、それがすでに絶滅した生物であったと考えるのも一興と言えませんか?

投稿者:wawa

The stable tea of Banta

X投稿より

センスを磨く問題ですので考えてみてください。
クロレラのみでミジンコ培養は可能でしょうか?
条件を設定しビタミンB群は供給されることとし、ミジンコはポピュラーなタマミジンコ(M.macrocopa)としておきましょう。
上記の条件では累代培養は可能かもしれませんが現実的には無菌培養は困難であり発生する細菌、菌類、微細藻類など微生物の栄養的干渉は避けることができません。
サスペンションフィーダーやフィルターフィーダーと呼ばれるワムシ、ミジンコ、アルテミアなどの濾過摂食者は継続的、非選択的に一定範囲の大きさの粒子を摂取します。
現在ミジンコ培養は濃縮クロレラを使う方法が定着しています。
濃縮クロレラの優位性はクロレラ細胞の密度の高さにあり、餌料生物の集約的な培養を担保することができます。
しかし使用期限は決して長くなく、保存方法にもよりますが時間の経過とともに枯れる細胞が増加していきます。
流出した細胞質内の水溶性成分は濾過摂食者による取り込みができず、主に細菌の栄養基質として利用されることになります。
このようにして増えた細菌等は濾過摂食者に取り込まれ消化・同化されることになります。
餌料生物の栄養価は与える餌により有為転変しますので、この場合の栄養価は発生する細菌等によって運否天賦という事になります。
濃縮クロレラの効果を最大限に得るためには、サードパーティー経由によらず製造年月日の表示されたメーカー直送品を選択することが大事です。
このように細菌等の発生は必至であるため特定の細菌・菌類を培養し餌として使用する方法があります。
中国の漁家の間でワムシの培養方法として導入されていますが、ミジンコ培養方法で用いられる「安定茶方式」、「独立栄養方式」を併せた培養技術と言えます。
「安定茶方式」、「独立栄養方式」のいずれも水産養殖業界では藻類バイオマスを獲得する目的で紹介されますが、実は「安定茶方式」の解釈は正しくありません。
洞窟動物相の研究で知られるアメリカの動物学者Arthur Mangun Bantaが1921年に「便利なミジンコ培地」として紹介した培地が普及したものですがバンタはこの培地の主要な食物要素は細菌であり適切な細菌を培養し、一定量を一定間隔で接種することで大量培養に適した「スタンダードフード」を得ることが可能であると述べています。
バンタは5年間の研究成果を車上荒らしで盗まれ志半ばで世を去った不遇の研究者と言えますがバンタの偉業が達成していたら餌料生物培養に与えた影響は違ったものになったかもしれません。

安定茶方式:池水、庭土、馬糞(通常は家禽糞、牛糞)から構成される培地で効果が比較的長期に及ぶ。
独立栄養方式:1~2種の微細藻類を培養し餌として用いる。累代培養の場合はビタミン添加またはビタミン生産菌が必須となる。

投稿者:wawa

海洋紅酵母

X投稿より

海洋紅酵母の発送連絡が来ました。
海洋紅酵母(Rhodotorula benthica)は海洋泥から分離した単細胞性真核生物です。
蛋白質、免疫多糖類、アスタキサンチン、不飽和脂肪酸、ビタミンなどの多種の生理活性物質を豊富に含み、水産養殖動物の生存率と成長速度を向上させることができます。

日本ではまだ馴染みが薄い海洋紅酵母ですが中国ではエビ、ナマコ、魚などの種苗生産の餌、育成期の餌への添加剤、ワムシの栄養強化などに使用されています。
またロシアのウラジオストクにある極東州立水産技術大学(Dalrybvtuz)によると腫瘍細胞を殺す効果が証明されたフロンドシドAを含む極東ナマコ、200年以上の長寿と言われるウニなどの棘皮動物の研究及び養殖用の飼料について、従来から使用している微細藻類を廃止して、衛生性、保存性、備蓄性、低コストに優れると判断した中国産の海洋紅酵母を採用し、今後国内での海洋紅酵母の量産に着手する目標を打ち立てたという事です。
ちなみにロシア極東の最大の貿易港ウラジオストクはロシア語で「東方を支配せよ」、「東方を所有している」という意味があります。
ビクトリア湾を改めピョートル大帝湾と名付けた海域に於ける軍事的・経済的な重要性を表していますが、清朝末期にロシア帝国に割譲した中国では当時は満州語由来(ᡥᠠᡳ᠌ᡧᡝᠨᠸᡝᡳ,xaiišenwei )で「海参崴」と呼ばれていました。(国立中正大学より引用)
これには「海辺の小さな漁村」、「ナマコが豊富な水溜まり」という意味があります。
地名の由来にいくつかの解釈があるのは歴史的背景、イデオロギーの違い、誤訳など様々な理由がありますので正解を探すことは困難です。
中国は2023年6月からウラジオストク港の使用権を165年ぶりに取り返し極東の経済的な奪還に成功しました。
多くの戦乱や動乱を経験しながらもシベリア鉄道の発着地、不凍港として世界経済を支えてきたウラジオストク港ですが、西方に陸の回廊を広げようとする新たな戦火の下、国際的には凍結港となったことが伺えます。

投稿者:wawa

タツノオトシゴはスキンフローラで赤ちゃんを守る

はじめに

注)当店で導入している濾過装置を設けないタツノオトシゴの高密度飼育はタツノオトシゴ固有のFlame Cone Cells(火炎錐細胞)の特性を利用した上皮バクテリア定着に注目した「タツノオトシゴの生物濾材化」による養殖モデルであり、また育児嚢や棘の進化の理由となったと考えるスキンフローラ免疫選択説への追求プロジェクトであり他種魚へ応用できる技術ではありません。


現在タツノオトシゴ属全種はワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)付属書Ⅱに掲げられていますが、水産価値がないためか日本では留保種とされています。
環境省海洋生物レッドリスト(2017)によると掲載種全体の約50%が情報不足(DD)と判定され多くの種について研究不足が確認できます。

漢方薬や海馬酒などタツノオトシゴの需要が多い中国では海馬属の全てが国家二級重点保護野生動物に指定され抗生物質に依存しない養殖技術が進み生残率は90%を超えることも珍しくないということです。
当店では中国の海馬養殖技術を参考に、更に天然資源に依存しない持続可能な繁殖を目指し人工海水、栄養強化したワムシ、アルテミアを使用しタツノオトシゴを繁殖していますが、ある程度の高密度飼育(10individuals.L-1)及び生存率90%を達成しています。
尚、高密度飼育は遊泳力に乏しい稚魚の間、餌の密度を高める方法として有効です。
参考
ワムシSS型:Brachionus rotundiformis イタリア
ワムシL型:Brachionus plicatilis 東京NH1L
アルテミア:Artemia franciscana BHB(Strainについては仮称)
ワムシについては海産稚魚の初期飼料となるカイアシ類に比べてセレンの含有量が30分の1以下と低いためセレン強化の人工飼料を用い、アルテミアはKrill、Fish、Schizochytriumのオイルを1:1:2の割合でオイルブーストします。1)
オイルブーストの方法は下記よりマニュアルがダウンロードできます。

オイルブーストマニュアルをダウンロードする

改善点や企業秘密にしておきたい点もありますがタツノオトシゴの人工繁殖を促進し天然個体の乱獲を防止する観点からタツノオトシゴの飼育法を順次公開することにしました。
この記事を読む方々はタツノオトシゴの飼育に関して手練れの飼育者が多いことを想定し既知の飼育法に関してはほとんど触れることはありません。
むしろ魚類のなかで謎の進化を遂げたタツノオトシゴの謎の部分に触れることで革新的かつ核心的なタツノオトシゴ飼育方法を構築できると考え棘や育児嚢の形成について仮説を立てています。
尚、タツノオトシゴには複数の系統がありすべてのタツノオトシゴにあてはまるかどうかはわかりません。
当店では近年新種に同定された日本海産のヒメタツ(Hippocampus haema)のブリードをしております。

細菌感染症対策
タツノオトシゴ飼育に於いて最重要点はビブリオやエロモナスなどの細菌による感染症対策です。

タツノオトシゴは腸管関連リンパ組織(GALT)が退化し免疫系に弱点を抱えているうえに、基本的に生きた甲殻類しか食べないことから外部より持ち込まれる生き餌が感染源となることが多く、この点から考えると天然採取による生き餌を与える場合は細心の注意を払うようにしてください。

それでは冷凍餌が良いのでしょうか。
生き餌と冷凍餌の違いは生物学的な存否にあり、生き餌は腐敗細菌に分解されることはありませんが冷凍餌は腐敗が保留ないし遅らされている状態にあります。
解凍後は凍結保存による細胞破壊も伴い腐敗細菌が一気に増殖しやく感染リスクも一気に上がります。
タツノオトシゴが生き餌しか食べない理由も細菌感染から身を守る防衛本能であると言えます。

尚、生き餌は海洋産、汽水産、塩湖産などいずれを与える時も二次培養や栄養強化を忘れてはいけません。
海洋産の生き餌が一番適していると思いますがストック時間の経過とともに栄養価が低下していきますのでタツノオトシゴが栄養不足に陥りやすくなります。

細菌増殖を抑える一番の手立てとしては水温を下げることが考えられます。
英語圏ではプロテインスキマーや殺菌灯の使用を推奨する記述が多いように感じますが当店では糞掃除と換水を重視しています。
ある程度の水流は細菌増殖の温床となる堆積物を作らないという観点から有効です。

タツノオトシゴと免疫
脊椎動物の獲得免疫は約4~5億年前に板皮類(原始的な魚類)の胃腸領域に備わったと言われています。
「顎仮説」によると顎の獲得により、硬く大きな獲物を捕まえて噛み砕くことが出来るようになり食生活の多様化が進んだ一方、代償として飲み込んだ獲物の骨や鱗による消化器への損傷、また捕食による食物連鎖から生じる細菌・寄生虫の感染リスクが増加したことが免疫系発達に影響を及ぼしたと言われています。
タツノオトシゴはインド太平洋地域で約2,500万年前にヨウジウオから出現したと言われており、時系列に沿うと腸管関連リンパ組織(GALT)が備わっているべきですが、P/Q-rich SCPP遺伝子の欠如により歯が無く筒状に長く発達した口先から小さな獲物を吸引摂食する特殊な摂食パターンであるため消化器の損傷や細菌感染リスクが低下したことでGALTが消失または著しく機能低下していると言われています。2)
大型のタツノオトシゴは殻が硬く鋭い棘を持つエビを噛み砕くことなく食べることから消化器への損傷は不可避的であり、また細菌感染もミクロの世界での話しであり小さな口であっても不可避的と言えますので「顎逆仮説」には疑問を感じますが、事実タツノオトシゴの飼育にはビブリオやエロモナスによる腸炎対策が必要になります。

果たしてタツノオトシゴは弱い生物なのでしょうか。
遊泳力に乏しいタツノオトシゴが全世界に広がっていった経緯にはタツノオトシゴが持つ適応能力の高さ、すなわち魚類の中でもゲノム変化を素早く行える能力が関係しています。
タツノオトシゴには別の免疫系統を発達させる必要が生じ、その目的を達成することが出来たため不要となったGALTを廃したのではないかと考えます。
ではどのような免疫機能を発達させる必要があったのか仮説になりますが考えていきたいと思います。

タツノオトシゴは初期に大きく2つのグループに分かれ1つのグループが大陸移動とともに海藻や木片などに摑まることで生息範囲を拡大していきました。
興味深いことにタツノオトシゴの外見的な特徴である棘は辿り着いた新天地に適用するための収斂進化であることがゲノム解析により判明し、捕食者から身を守るためであると言われています。3)
確かに海藻やサンゴに潜んでいる姿は周囲に同化した擬態と言えますが、私は隠蔽擬態やペッカム型擬態とは別にタツノオトシゴの免疫能力に関わる秘密があると考えています。
タツノオトシゴの大きな特徴である棘と育児嚢にはタツノオトシゴ固有のFlame Cone細胞と呼ばれる粘液状の帽子(mucous cap)に覆われた細胞が存在します。
育児嚢の形成については表皮に現れる突起が原基となるためFlame Cone細胞はタツノオトシゴが何らかの目的で表皮に独自に設計した細胞と言えます。4)
Flame Cone細胞の粘液キャップは数種類のムコ多糖類(糖鎖)で構成され微生物叢の増殖に適しています。5)
そこでタツノオトシゴはスキンフローラ(皮膚細菌叢)を充実させることで子供と自分自身を守るバリア機能を高めたのではないでしょうか。
(2024.3.7追記:ゲノム、タンパク質に次ぐ第3の生命鎖として近年研究が進められている糖鎖も免疫機能に大きく関わっていると言われています)
育児嚢で善玉菌を増殖させることは育児嚢内の環境浄化や病原性細菌の増殖を抑えることが可能となり、育児嚢の中で子の表皮へ善玉菌を渡すことができるメリットがあります。
このことは長く無菌と考えられていた人間の子宮内にもフローラが存在することが判明し妊娠と大きく関係があることと似ています。
そして棘の形成は体表面積を増やし善玉菌の数を増やすことが可能になります。
但しタツノオトシゴの表皮は善玉菌だけでなく日和見菌や悪玉菌(以下まとめて悪玉菌)の増殖にも適していることになります。
自然界ではタツノオトシゴの表皮におけるスキンフローラは周囲の堆積物によって影響を受けることがわかっています。6)
自然界では汚染された環境から逃げることは可能ですが飼育下にあるタツノオトシゴには出来ません。
飼育には人工海水を使用することが多く無菌に近い状態であり、タツノオトシゴに与えられる生き餌により外部からビブリオやエロモナスといった悪玉菌が持ち込まれます。これが繰り返されることでタツノオトシゴの表皮における悪玉菌の割合は増加します。
この場合タツノオトシゴは棘を萎縮させ体表面積を減らし悪玉菌を減らす防衛手段をとることができますが水槽内に善玉菌が存在しないため悪玉菌が脆弱な腸まで達し腸炎を起こすことで死亡します。
これは人間の小腸にある腸絨毛がストレスなどで萎縮し表面積が小さくなることや病原性大腸菌が引き起こす絨毛の破壊と似ています。

また、主にビブリオ感染によって発症するタツノオトシゴの病気として知られる気泡病(Gas Bubble Disease)がFlame Cone細胞が存在する育児嚢、表皮そしてGALTが消失した消化器で発生する理由として納得できます。

どのように対策するのか?
1.プロバイオティクス
FAO/WHO合同専門家会議報告書では、プロバイオティクスを「適切な量で投与すると宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物」と定義しています。
歴史的に見るとプロバイオティクスという言葉はParker(1974)やFuller (1989) によって腸内細菌叢のバランスと関連付けて定義された経緯があり腸内善玉菌として捉える人が多いのではないかと思いますが、動植物とその周囲環境にとっての善玉菌として包括的に捉える環境プロバイオティクスの概念が重要ではないかと思います。

近年人間の指先の微生物叢が触れた物質に残る新しい「指紋」として法医学界で注目されています。
タツノオトシゴに於いては皮膚の微生物叢(マイクロバイオーム)の「指紋」を調べることで地理的起源を追跡可能としタツノオトシゴの保護に役立てようとするトレーサビリティの研究が行われています。
この研究によると野生採取のタツノオトシゴを飼育下に置いた場合、40日で「指紋」に変化が現れ飼育下では「指紋」は安定しやすい傾向にあることがわかります。7)
天然採取の棘の発達した(特にアクア業界で擬態軟骨と呼ばれるフサフサな棘を含む)タツノオトシゴを飼育下に置くと棘が消失することは珍しくありません。
通常は外敵から身を守る必要が無くなったためと考えることが妥当であると思われますが環境変化に伴う微生物叢(マイクロバイオータ)の変化も影響しているのではないかと考えます。

Hippocampus sindonis

プロバイオティクスに使用される菌としては健康なタツノオトシゴの表皮、腸管、糞便などから分離培養された菌が望ましいと考えますが、実行するには相当の知識と技術及び設備が必要になります。
ここでは当店で実際に使用しているプロバイオティクスを紹介したいと思います。

記述中…

2.漢方

記述中…

参考文献

1)Marian Ponce, Inmaculada Giraldez, Sandra Calero, Paz Ruiz-Azcona, Emilio Morales, Catalina Fernández-Díaz, Ismael Hachero-Cruzado,
Toxicity and biochemical transformation of selenium species in rotifer (Brachionus plicatilis) enrichments,
Aquaculture,
Volume 484,
2018,
Pages 105-111,
ISSN 0044-8486,
https://doi.org/10.1016/j.aquaculture.2017.10.040.

2)Rahman, Arman. (1998). What brought the adaptive immune system to vertebrates?–The jaw hypothesis and the seahorse. Matsunaga T, Rahman A. Immunol Rev. 1998 Dec;166:177-86. Review. PMID:9914912 [PubMed – indexed for MEDLINE].

3)Li, C., Olave, M., Hou, Y. et al. Genome sequences reveal global dispersal routes and suggest convergent genetic adaptations in seahorse evolution. Nat Commun 12, 1094 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-21379-x

4)Kawaguchi, Mari & Okubo, Ryohei & Harada, Akari & Miyasaka, Kazuki & Takada, Kensuke & Hiroi, Junya & Yasumasu, Shigeki. (2017). Morphology of brood pouch formation in the pot-bellied seahorse Hippocampus abdominalis. Zoological Letters. 3. 19. 10.1186/s40851-017-0080-9.

5)Bereiter-Hahn, Jürgen & Richards, K. & Elsner, L. & Voth, M.. (1980). Composition and formation of flame cell caps: A substratum for the attachment of micro-organisms to sea horse epidermis. Proceedings of the Royal Society of Edinburgh. Section B. Biological Sciences. 79. 10.1017/S0269727000010356.

6)Ortega, R.C.M.H.; Tabugo, S.R.M.; Martinez, J.G.T.; Padasas, C.S.; Balcázar, J.L. Occurrence of Aeromonas Species in the Cutaneous Mucus of Barbour’s Seahorses (Hippocampus barbouri) as Revealed by High-Throughput Sequencing. Animals 2023, 13, 1241. https://doi.org/10.3390/ani1307124

7)Felipe P.A. Cohen, Tânia Pimentel, Wagner C. Valenti, Ricardo Calado,
First insights on the bacterial fingerprints of live seahorse skin mucus and its relevance for traceability,
Aquaculture,
Volume 492,
2018,
Pages 259-264,
ISSN 0044-8486,

投稿者:wawa

成長したアルテミアの栄養価値

日本のアクア業界においてはアルテミアは孵化直後のノープリウス(1令幼生)が栄養価に優れているというイメージが強いようですが、実はノープリウスより成長したアルテミアの方が栄養価は優れています。

FAO(国際連合食糧農業機関)によるとタンパク質含有量、特に必須アミノ酸が豊富とあり(注1)、また成長したアルテミアに含まれる生殖ホルモンはクルマエビ科のエビのホルモン活性に影響を与えるようです。(Naessens et al., 1997).

故に海外においてはアルテミアバイオマス活用の研究が盛んに行われています。

ベトナムのカントー大学水産学部で2018年に行われた実験では、アルテミアの餌として藻類以外に人工飼料を加えると、生存率が高まり成長が改善されアルテミアの繁殖が促進されることが証明されました。

この実験は藻類100%から10%、20%、30%、40%の人工飼料を加えた5つのパターンの比較で行われ人工飼料10%で最も高い生存率(100%)、40%で最も高い成長率と生殖パラメーターを持つことが確認されました。

異なる餌の併用で栄養改善が行われ成長や機能向上に寄与したと考えられます。

人工飼料は通常米ぬかやふすまなどの食品廃棄物が使われますが飼育下においては観賞魚やエビ用の飼料で代用する方が楽ではないでしょうか。

この時大事なことは食物粒子をアルテミアが摂食しやすいサイズにフィルタリングしてやることです。

成長した雄を除くアルテミアは濾過摂食(注2)で適正な餌の範囲は1~50μmと言われています。 (D’Agostino, 1980; Van Stappen, 1996; Dhont and Sorgeloos, 2002).

またFernández(2001)は、アルテミアの飼料の大きさは6.8〜27.5µmの範囲で最適値は約16.0µmとしています。

また、フィルタリングすることで摂取出来ないサイズの餌の混入による水質汚染も予防できます。



(注1)FAO(国際連合食糧農業機関)のHPには一部誤記があると思います。

著者の勤務するベルギーにあるゲント大学へメールで問い合わせをしましたがまだ回答はありません。

(注2)エクアドルで養殖中の雄のアルテミアの消化管から養殖タンクで発生したオオバアオサの一部が発見されたことから交尾の際に雌を捕まえる第2触角が剪定バサミのような機能を果たすことが確認されています。

投稿者:wawa

脱殻ブラインシュリンプとは?

古い資料によると1977年にPatrick Sorgeloos博士らが次亜塩素酸ナトリウムを用いたアルテミアシストの脱殻方法を開発したとあります。

本来は細菌負荷を軽減する目的で脱殻が行われたそうです。

近年では孵化作業を要しない高栄養価の飼料として「殻無しブラインシュリンプ」や「殻剥きブラインシュリンプ」として重宝されています。

一方、脱殻方法に関して説明を記載する業者はほぼ無く「特殊技術」などの記載に留まっています。

食用塩素で脱殻処理を行うためイメージメントの観点から敢えて触れないのだと考えますがこのノンディスクロージャー体質が商品偽装の温床になり最近流通している純粋でない脱殻ブラインシュリンプには特に危惧しています。

純粋な脱殻ブラインシュリンプは脱殻処理後大量の塩水で洗浄しますが食用塩素で脱殻処理を行うため塩素特有の臭いが残ります。

逆から考えるとこの臭いは製品の真贋を見極めるポイントになります。

純粋でない脱殻ブラインシュリンプには主にエビの様な臭い付けや赤みを増す色付けが行われることが多いようです。

臭い付けは嗜好性の向上、色付けは添加物を使った栄養強化とも理解できますがこの場合でも添加物の表示は必要であり、改良点は商品のアピールポイントになるはずです。

そして一番の問題点は小麦粉によるかさ増しが行われることです。

純粋な脱殻ブラインシュリンプは不沈性が強く懸濁しにくい性質を持ちますが偽物は比較的沈みやすく水を汚す傾向が強いです。

このような製品は人工飼料として販売することがあるべき姿ではないかと考えます。

臭いや色で見分けることは未然防止で良いですが与えて水が汚れてしまってから気が付くのは遅いので本物と偽物を見分ける一番簡単な方法を下記の動画で紹介しています。

投稿者:wawa

アルテミアシストの保存方法

アルテミアシストの保存については一般的には10℃以下の冷蔵庫での保存が良いとされています。

但しこの条件を適用できるのは真空パックにされた状態を維持した場合で一旦開封した製品や二次流通業者により小分けにパックされた製品には適用されません。

私は長期使用しないアルテミアシストは-10℃以下の冷凍保存を推奨しています。

この方法は趣味でアルテミアシストの輸入を始めた往時に遡り中国のアルテミア業者さんから伝授された輸送時におけるアルテミアシストの劣化を止める方法で以来ずっと順守してきました。

現在では中国において冷凍保存を推奨する業者も増え広く浸透しています。

ではこれを少し科学的に解釈してみましょう。

アルテミアシストにとって高温以外の敵は空気中に含まれる水分、すなわち湿度です。

常温下に置かれた製品を冷蔵庫へ入れると温度が下がることにより空気中の水蒸気が水に変化します。

乾燥したアルテミアシストはその水分を吸収し一気に劣化の道を辿ります。

しかし一気に冷凍すると水が凍る温度は0度ですから空気中の湿度は冷蔵庫保存より低いことになり劣化が防げるということです。

次に望ましい小分けの方法について考えてみたいと思います。

乾燥したアルテミアシストにとっての敵は空気中に含まれる湿度ということがわかりましたので小分け時には空気を入れない密閉した環境を作ることが大事です。

これには利便性も考慮してチャック付きのビニール袋とアルミ袋の二重パックで保存することが良いと思います。

湿気対策のみならず休眠を妨げる温度そして光を遮光する対策も重要です。

この時の注意点としては優しく出来る限り空気を抜くようにしましょう。

当座使う小分けパックは冷蔵庫へ、しばらく使わない小分けパックは冷凍庫へ保存することでアルテミアシストを有効に活用することが出来ると思います。

当店では冷蔵保存、冷凍保存、冷蔵発送、冷凍発送を使い分けることでアルテミアシストをベストな状態管理できるよう努めております。

尚、超細卵を扱うにあたりベトナムのアルテミア協同組合へ保存方法について問い合わせを行いました。

短期保存は冷蔵庫で問題ないが長期保存は冷凍が望ましいと回答を得ています。