ソルトレイク産というとアメリカ合衆国ユタ州にあるグレートソルトレイク産という認識が一般的にあるようですがソルトレイクとは塩類濃度が淡水湖より高くなった塩湖(Salt Lake)のカタカナ表記であり単に塩湖産としての意味しかありませんので特定の産地を示す言葉にはなりません。
ソルトレイク産とされるアルテミアの多くの製品がアメリカやユタ州といった地名が特定できる言葉と併記されるためグレートソルトレイク産と推定できます。
ではグレートソルトレイクでアルテミア(Artemia franciscana GSL)はどのような位置付けでしょうか。
ユタ州野生生物資源局(Utah Division of Wildlife Resources)はGreat Salt Lake Ecosystem Programに基づきグレートソルトレイクの生態系を維持するため水鳥の貴重な餌となるアルテミアの採取に厳しい制限をかけています。
※尚、ユタ州野生生物資源局はHPの閲覧にも制限をかけていますのでは国外からの閲覧には工夫が必要です。
グレートソルトレイクにおけるアルテミアの収穫期は毎年10月1日から1月31日まで行われますが事前に計算された収穫量に達した場合やサンプル採取された水の中に含まれるシストが規定値を下回ると禁漁となります。
また採取権は賦課金を納めた協同組合の会員だけに許可証として与えられることになります。
このような厳格な規制のもとで行われる不安定な採取に頼ることなく養殖で安定した収穫を可能にするため移植株として中国での養殖が始まりました。
中国で細卵と呼ばれるアルテミアに該当します。
善良な業者が輸入販売する中国産の細卵には「アメリカ企業」や「ソルトレイクの企業」といった説明が補足されることが多いようです。
一方で世界的に見て中国産の細卵がグレートソルトレイク産(100% From Great Salt Lakeなど)として流通する例も多く存在します。
有名なアメリカ企業のスマートフォンを世界の工場である中国で製造している理屈と同じですがこの場合でも正しく産地を記載することが企業倫理であり国際的なルールではないかと思います。
しかし昨今の微妙な中米関係や新型コロナウイルス感染症による輸出入の規制から考えて経済力、軍事力ともに世界一を目指す中国がアメリカの下請けから脱却し独自ブランドのBOHAI(渤海湾)へシフトする可能性は極めて大きいと感じます。
高付加価値なアルテミア製品として世界最高のアルテミアと位置付けられるベトナム産(Artemia franciscana VCSFB)の移植株と推定される超細卵が今後アルテミア業界を席巻する日は近いのではないでしょうか。